独創力について何かと騒ぎになったエンブレムデザインについて、
ベルギーの劇場ロゴや、スペイン北部の洞窟内にあった壁画などに酷似しているなどと
物議を醸した。

先日この件について別の角度からのブログ投稿があったかが、
この一件において、あくまで個人の見解として表現にはなるが、
あるデザイナーのすごく納得できる言葉があったのでお借りして記します。


”今回のエンブレムは、
色においる典型(白黒赤金銀は日本工芸の固有色といってよいだろう)と、
形においる原型(正方形と正円弧の機械的接合)を用いており、
それらの掛け合わせにて創ることは、全面的に「個人の独創」に帰することは困難である。
とありました。”
つまり、典型と原型の操作から派生するデザインゆえ、既存デザインと「かぶる」可能性はとても高いといっている。

伝えたいことは、単に「かぶる」ことではなく、
どんなに単純なデザインとはいえ、デザインのプロセスとは典型と原型の掛け合わせであり、
重層的であるということ。

デザイナー本人からも正方形を9分割にして構成したことや、前回エンブレムを思わせるライン取りの話があったが、
たとえばだが、「形式的な分析」特に色彩に関して
配色においても地の白とのコントラストは「黒赤金銀」の順で弱くなるので、
まずはパラリンピックとの反転関係、
次に日の丸、その次にTokyo、最後に亀倉雄策氏(1964年東京オリンピックのロゴを制作者)へのオマージュの順に形が読み取られるよう配慮した。

など、さらに説明が加わると、他のものと意図が全く違うということに説得力が増す。
また、こうした考えが元にあるからこそ、発表映像でのエンブレムのイメージを応用した映像が制作できるのである。

映像をみただけでも「かぶる」ということと「真似する」とはわけが違うのは分かるが、
こうした重層決定を読解する能力がデザイン・リテラシーである。
今回騒動の元となる断片的に言葉尻を捉えるだけの報道やつぶやきは、とても単層的・表面的である。
そのために、「かぶる」と「真似する」が混同してしまっている。

もちろんこの能力は、ある程度の知見と経験がないと使いこなせない能力でもあるが、
これからのデザインにおいて特に求められるものではある。

これが説得力である。


プランニングにおいても、展開には理由がある。
まったく同じことでいえる。
人に何か説得するには、必ず説明するものがあり重層的に出来上がっているのだ。

以前のブログでも記したが、これからのデザインは
色・形が美しいとだけでは難しい。

しかしデザインを職能とする「専門家」は、
世間の不理解に対して「どうせ分かってもらえない」と被害者意識に閉じこもってしまうことは絶対にあってはならない。
せっかく考え美しいものを創ったのであれば、伝えてもらいたい。

表立って評価をする報道もしかりだが、
もっと重層的にデザインについて語るという営為が広がることで、
きちんと戦える専門家がもっと沢山出てきて欲しい。


日本の美意識はもともと独創的に高いところにあるはずなのだから。



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