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アップルは私が言うまでもなく、世界を変えました。当たり前すぎて文字にするのも、言葉にするのも恥ずかしいレベルです。いわゆるパラダイムシフトです。横文字にしても恥ずかしい。。
っていうくらい常識ですよね。


スマートフォンによってもたらされた世界では、電話は電話をするためのモノから、
SNSをはじめとした総合的なコミュニケーションツールへと変貌を遂げました。

私が子供のときは、「インタラクティブ」という言葉がもてはやされました。
今から20年前ぐらいでしょうか。今や、「インタラクティブ」どころか、
それに「リアルタイム」が加わり、ツイキャスでは暇な高校生が退屈な授業を
生中継していたりします。ぼーっとそれを眺めるおっさん(私)。シュールすぎます。


そういったソフト面での変革だけではなくハード面でも、もっともっと重要なことが
おきました。

私はデザインを生業としています。アップル以降とアップル以前とでは、デザインの
基準が変わりました。アップルのあのシンプルで逆に嫌みすら感じさせるデザインは
デザイナーをする上ですごく悩ませる大きな大きな問題になりました。


いま、デザイナーが一番作ってはいけないのが「アップルっぽい」デザインだと思っています。皆が中途半端に真似をしたものを量産したので、「ああ真似したのね」と間違いなく思われます。

「ああ、あのファッションリーダーが昨日着てた服ね。恥ずかしいわ。クスクス」という感じです。

かといって、アップルはデザインにおける次の世界を提示してくれたわけではありません。
(ゴミ箱みたいな新しいマックのデザインは、アップルがときどきやるお茶濁しのような
もので、言うならば外伝的なものです。新しい提示ではありません。)

同時に、「アップルっぽい」デザインから大きく逸脱したものは「今の時流から大きく外れた」ものになりかねません。シンプルにデザインを作るということは、古典的な作法で、何もアップルが発明したわけじゃないのにね。あー、この言い回しすらアップルっぽい。。もう身も蓋もない話ですが。

どっちに転んでも、アップルが提示したシンプルなデザインの呪縛から逃れることはできません。あらゆるデザイナーはこの呪縛と戦っているはずです。大なり小なり。

2Dのグラフィックデザイナーは勿論ですし、私の身近なところでは、ディスプレイや什器や家具のデザイナーもそうでしょう。また、空間デザイナーや、車や家電などのプロダクトデザイナーだってそうかもしれません。「これちょっとアップルっぽいなぁ、もうちょっとこうしよう」とか苦しみの声が聞こえてきそうです。概念的な部分ですが。

「Think different」ってもう我々にとって、とどめの一撃です。


企画クリエイティブ  ディレクターi